SSブログ
検査の話 ブログトップ

検査の話(3)CRP [検査の話]

 感染症の検査によく使われる血液検査にCRPというものがあります。C-反応性蛋白のことで、体の中で何らかの炎症が起こった時に高くなります。大人では、膠原病、心筋梗塞、悪性腫瘍、手術などで高くなることがありますが、子どもではこういう病気はめったにありませんので、感染症が疑われる時に検査することがあります。

 ウイルスによる感染症では、通常はCRPの値はそれほど高い値になりません。ところが細菌による病気では、高い値になることがあります。そこで、CRPが高かったら、治療が必要な細菌による感染症と診断されることになります。細菌による場合は、抗生物質による治療が考慮されます。

 ところが、ウイルス感染症でもアデノウイルスのようにCRPが高くなることがあります。逆に細菌感染症でも早い時期にはCRPが上がらないことがあります。他の検査などと合わせて診断をする必要があります。

 米国では、CRPの検査だけでは、病気が重症かどうか判断できないということで、CRPの検査を重視しないと言われています。日本では、CRPの検査に頼り過ぎる傾向があります。CRPの値が高くて、白血球の数が多かったら、一般状態は悪くないのに入院になったという話を聞くことがあります。結果としてそれほど大した病気ではなかったということは珍しくありません。

 CRPが高い場合に、重大な病気が隠れていることもありますから、用心をするに越したことはありませんが、あまり検査の値に振回されないようにというのは、私達、医療関係者が心がけておくべきことです。

 

 
コメント(0) 

検査の話(2)子どもの正常値 [検査の話]

 お子さんが血液検査を受けた時に、検査結果を見ると、正常値より高すぎたり、低すぎたりすることがよくあって、気になることがあります。検査結果に書いてある正常値は、大人の正常値なので、子どもでは、病気でもないのに、異常になってしまうことが珍しくありません。

 子どもの正常値は、大人の正常値とは少しずつ違います。例えば、子どもで大人より高い値がでるのは、白血球の数、アルカリフォスファターゼ、LDH、GOT,GPTなどがあります。逆に低い値になるのは、貧血をみるヘモグロビン、コレステロールなどがあります。

 小児の診療に携わる医師は、子どもの正常値を考えて結果を見ますので、印刷された正常値だけで判断することはありません。気になるようなら、どのように値をみたらいいかきいてみるといいでしょう。
コメント(0) 

検査の話(1)検査は万能ではない  [検査の話]

 病気の診断に検査が行われることがあります。血液検査や鼻やのどから検体を取る迅速検査が行われます。「検査でインフルエンザだと言われました」とか「検査でインフルエンザではないと言われました」と聞くことがありますが、検査ですべてわかるのでしょうか?

 検査の結果を読むのに気をつけないといけないことがあります。
1.検査が間違って陽性(その病気である)になったり、陰性(その病気でない)になることがあります。これは検査法に限界があるからです。インフルエンザでもウイルスの量が少ないと検査が陽性になりません。

2.検査が陽性であってもその病気でないことがあります。のどから溶連菌がでても、ただ、単に菌がいるだけで、熱は別の原因ということがあります。

3.検査が元々、その病気を診断するのに適していないことがあります。
食物アレルギーの検査に血液検査や皮膚の検査が使われますが、これは本人の持っているアレルギーの体質を調べているだけで、食べたら反応がでるということを調べているわけではありません。卵アレルギーの体質はあるが、食べても問題ないということはよくあります。
麻疹にかかったかどうかを調べる抗体検査も、たくさんある抗体の一つだけを調べているので、抗体がないけれど、すでに罹っているという場合があります。

 検査というのは万能ではないのですから、検査の結果だけでなく、どういうことが考えられるのか説明をしてもらってください。


コメント(0) 
検査の話 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。